高校三年生。


進路をはっきりさせる時期で、みんな少し浮足だっていた。


私は昔から続けていた音楽の道に進むために音楽大学を受験することを決めていた。


「ねぇ夏花、進路希望調査の紙もう出した?」


アケミが前の席から振り向いて聞く。


「うん。もうきのう出しちゃったよ」


「お父さん許してくれたんだぁ!」


「うーん、許してくれたっていうか…黙認かな」


「そっかぁ。でもとりあえずよかったじゃん」


「うん。アケミは?大学決めてたんでしょ?」


「そぉなんだけどさぁ」


アケミが椅子から大きくのけぞる。


「何?なんか迷ってんの?」


「夏花だって音大でしょ?タッくんは美容師目指して専門いくし、シオリもネイル系行くって言ってるし、みんな目標あるんだもん。あたしだけ適当みたいな…」