刑事がなぜ驚いているのかわからない私の様子を察知したのか、刑事はいやいや、と手をひらひらさせた。

「初めて彼の名前を口にしたなぁと思ってね」


気まずい空気が流れる。


しばらくの沈黙が続いたが、時計のないこの部屋ではどのくらいの時間が流れたのかはわからなかった。


「言ってごらん」


刑事はふいにやわらかな口調でつぶやいた。


斜め下を向いていた顔をあげると刑事も同じように顔をあげた。


「なんでもいいから、言ってごらん。

隼人くんとの話でも友達との話でも。

なんでも思い浮かぶことを話してみなさい。

わたしはちゃんと聞いているから」


刑事って、みんなこんなに優しいんだろうか。


こんな罪を犯した私にさえも優しく微笑む刑事さんは神様のように見えた。


神様なんて、信じていないけど…。


「隼人とは、あの、待ち合わせをした日のすぐ後から付き合い始めました」