「…そろそろ、話す気になったかい?」
暗く陰気な部屋。私の前に机をはさんで刑事はゆっくり腰を降ろした。
私と同じ歳くらいの子供がいても良さそうな歳に見える。
この人とここでにらみあいを続けてもう三日になる。
別に隠したいわけでも話したくないわけでもなかったけど、何から話していいのかわからなかった。
「君は…まだハタチだったね?」
私は刑事の淡い水色のネクタイを見つめながらうなずいた。
長く伸ばした髪がサラっと顔にかかった。あの人が好きだと言ったこの茶色の髪が。
「君はまだ若いのに、どうしてこんなことになってしまったんだい?
大丈夫。怖がることはないよ。
今病院から電話が入って彼は一命を取り留めたらしい。よかったな。」

