「ひとりで来てるの?」 思ったより背が高くて見上げなければ顔を見ることができない。 「友達と…。でもはぐれちゃって。そっちは?」 「俺、樋口。樋口隼人」 「…樋口さんは?」 「俺もダチと来てたんだけどわざとはぐれた。名前は?大学生?」 「夏花。高校三年」 「高校生かぁー。大人っぽいね。見えない。なつかって字は?」 「季節の夏に花」 「へぇ。花火だね」 空でドォンという音が響く。 「花火?」 「うん、花火。夏の花って花火でしょ?キレイな名前だね」