私の足は自然と、ある所へ向かっていた。


それは地区内の、小さな公園。



幼い頃に拓海と遊んだ、思い出が残る場所――



2人掛けのベンチに、力なく腰を下ろした。


その途端、堰を切ったように涙が溢れ出す。




満天の星が輝く夜空を、見られないほどに・・・





『蘭、辛くなったら空を見上げろ!

計り知れない、この景色を見てるとさ。

自分の悩みが、もの凄く小さく思えるだろ?

変わらない空が、励ましてくれるよ――?』


中学受験の前日に、私に言ってくれたよね。



この言葉が、今までの私の活力源だったの――



拓海への想いが、報われなかろうが。


抱かれた後の、虚しさを抱こうとも。



いつも変わらない空が、支えてくれた・・・



傷ついても、身がどうなろうとも。


傍にいられれば、それで良かったのに。




「…っ、たく…みっ――」



今の私には、もう・・・


上を向く力は、残されていなかった――