だからね・・・・


たった1度だけ…、許して欲しいの。




「…っ、社長・・・」


「・・・何だ――?」

「…っ、あの・・・」


どうしても、聞きたいコトがあるの。



今日だけ、不義理を許して下さい・・・




「こ…婚約者がみえるというのは・・・

…本当、です・・・?」


震える手を握りしめ、声を張り上げつつ。


意を決して、核心に迫った私。




本人に聞かなければ…、真相は掴めない。



だから…、貴方の言葉が欲しいの――




…なんて、本当は・・・


婚約者がイナイことを、祈っていたけれど。






「…どこで、その話を聞いた?」


「えっ…その、人づてに・・・」


「そうか・・・」


私とは対照的に、冷静な声が車内に響いた。






「婚約者なら、いるけど――?」




あまりにも淡々と、私の未来を示して――