社長ならば、こういうトキには。


怒りもせずに、素知らぬ顔をするだろう。



干渉よりもずっと辛い、無反応という仕打ち――


その態度が、モノ同然だと示すから。




“おめでとう!”

“凄いじゃん!”

いつも優しかった、あの頃が懐かしいけれど。



・・・でも、それは社長の仮の姿で。


トップシークレットを、知った私には。



もう…、一生向けられるコトがナイ・・・






「・・・佐々木さん?」

「えっ…あ、申し訳ございません!」

後藤社長の声で、慌てて覚醒する私。


これこそ、ホントの失態だし・・・



「ハハ、いいよ!!

それで佐々木さん、今日の夜って空いてない?」


「え…、空いてますが?」

突然尋ねられ、疑問形で返してしまう。



「あっ、良かった!

だったら、俺と食事でもどうかな?」


「え・・・?」


唐突過ぎる、後藤社長の電話が。




カルテットの、始まりを告げていた・・・