秘書を務める…、社長のせい・・・




「ところで、蘭ちゃん! 

このスペースに、今度は何を植えればいいと思う?

悩むのも楽しいけれど、迷いすぎてね・・・」

慈悲深い表情で、お庭の花々を見つめる奥様。



「申し訳ございません…。

私、お花には詳しくなくて・・・

これからの季節、どのようなお花が咲くかさえ・・・」

ビクビクしつつも、軽く頭を下げた。



花の名前を持ちながら、植物の知識は皆無な私。



もし、この場に母がいたとすれば。


佐々木家の恥だと、酷く怒鳴られそうだ。




「そうよねぇ・・・

若い子はお庭になんて、興味ないわよねぇ?

ごめんなさいね、困らせて・・・」


「申し訳ございません…」


広大な敷地ながら、お庭はすべて奥様の管理下。


この家で唯一、私を和ませる景色・・・



そうして、今日もまた彼女の話に耳を傾けていた。




ガチャッ――

するとその時、玄関のドアが一気に開いた。




「蘭、行くぞ――」



待ち構えていた、愛しい人の声とともに・・・