その瞬間に頬をスッと撫でるように触れられて、途端に熱を帯び始めた箇所。
一点だけを捉えている鋭い視線にまで、私は囚われたように逸らせなくなる…。
「目の下、クマが出来てる」
「…バレてた?」
顔を覗くように首を傾げて見せる彼に、遠慮気味ながらも尋ね返せば。
「蘭のコトなら当然だろ?」
「ッ――」
整った顔を緩ませつつ、さり気ない一笑をされてしまうと。
たったソレだけの些細な変化であっても、私の鼓動は一気に加速していく。
「まだ眠いのか?」
「・・・かな?」
一緒に育ってきた道筋があるから…、貴方には寝不足加減もバレてしまう。
「低血圧のクセに…」
「拓海にだけは言われたくないし!」
だからこそ、このキモチを隠すコトがどれだけ大変だったか…。
自分でも驚くほど感情を押し殺して、クスッと自嘲した笑みを零す。
まるで不器用なクセに、それでも演技をこなせてしまうなんてね・・・

