やっと、言った――?
「っ・・・」
言葉の意味が解らないせいか、驚いたせいなのか。
涙がピタリと止まり、鼓動がドクンと響き渡った。
そうして引き寄せられるように、後ろを振り返ったトキ。
バンッ――
いきなり助手席のドアが、一気に開かれた。
グイッ――
そのまま腕を掴まれた私は、車外へ引っ張り出される。
トンッ――
ホワイトムスクの香りを間近で感じるほど、ギュッと抱き寄せられた。
広くて厚い胸の中で、立ちこめる甘い香りに、鼓動が高鳴ってしまう。
「しゃ、社長っ・・・」
不謹慎にも高ぶる感情を抑えて、必死に話しかけたのだけれど。
「黙ってろ――」
「ッ――」
怒気を含んだ冷徹な声色で、一気に硬直してしまった。
これほど冷たい声を聞いたのは、初めてだったから。
私の身体は、途端にカタカタと震え始めてしまう。
どうして・・・?

