自分でよく分かってる、解ってるから・・・
拓海には愛するヒトがいて、私はただの捌け口。
婚約者という存在には、一生敵う訳もなくて。
秘密の部屋が無ければ、お払い箱の運命(サダメ)だと――
「っ…、秘書も辞めます…
無理ですっ…、出来ません…」
「オマエ、一体どうした…?」
「ッ・・・ゴメンなさいっ・・」
グチャグチャの私が紡ぎ出すのは、別離を齎す単語の羅列で。
至って冷静な人からすれば、可笑しいコト極まりないだろう。
「もう…、離れたい――」
決定打を放つように、とうとう吐き出した言葉。
「蘭…、何があった?」
拓海の声を遮断する為に、頭を振って両耳を塞いだ。
ホントはチガウのに――
内心では、そんな相反するフレーズが反芻していく。
「っく・・・ひっ・・」
だけれど、隔てたドアと身を任せられるシートに助けられたね。
支えを失った私は、立つコトさえままならない…。
「蘭が“自ら”望んで離れると言ってるんだ。
君は彼女の未来を奪っていたくせに、白々しいな…」
「フッ…、そうでしたか――」
後藤社長の言葉で納得した貴方の反応に、すべてを失った気がした・・・

