対峙する2人の視線が、見えない火花を散らしている中で。
私だけは、何処にも立ち位置が見つけられずにいた。
後藤社長の言葉は、僅かばかりの希望を打ち砕いていく。
拓海のポーカーフェイスぶりが、心を凍てつかせていく。
「ッ・・・」
拓海を見続けるコトが辛くて、そっと瞳を伏せてしまう。
行き先は同じ末路で、結局は回り道を重ねるだけなのに・・・
「ハッ…、蘭が貴方のモノとは・・・
今の状況ですと、とてもその様には見受けられませんが?
今後は許可無く、私の秘書に手出しをなさらないで頂きたい。」
幾許措いて、淡々と発せられた言葉が突き刺さる。
それは拓海にとっての存在価値を、知らしめるモノで。
秘密の部屋での甘言は、その場限りの儚い依存だと…。
後藤社長と婚約者の言葉が、論理式に組み込まれてしまって。
現実の無情さを自負していながら、受け入れられナイ私。
苦しい…、もうムリ…、限界だよ・・・
「もう…、やめて…」
「蘭・・・?」
「婚約者が…いるのにっ…」
これ以上…、貴方を酷いオトコに仕立てたくない――

