身に纏っていた、すべてを剥がされたトキ。



「蘭・・・?」


次は私が、拓海のすべてを剥がし始めた。


スーツも、ネクタイも、ワイシャツも。


鉄壁とも言えるスタイルに触れたのは、これが初めて。



だって今日が…、最後だから・・・



貴方に触れられるのは、今日しかナイの――





「蘭・・・」


グイッ――

いきなり手を掴まれて、動きを制された私。




「どうしてオマエは、いつも泣くんだよ?」


「え・・・?」


そう言われて、初めて頬を伝うモノに気づく。


無我夢中すぎて、気がつかなかったの・・・




「どうして結婚するのか、言えよ――」


「っ…、・・・」


掴まれている手に、グッと力を込められてしまう。



行為の途中であろうとも、一気にソノ気を失わせる問い掛け。




私がもし…、本当のコトを言ってしまったら。



拓海は、どうする・・・?