離れたくないという感情からか、拓海の首へと腕を回す。


香り立つ甘さに、身も心も惑わされつつ・・・



「拓海・・・」


「ん――?」


「ううん・・・」


「何だよ?」


一笑した彼の首に、さらにギュッと力を込めた。



最後だと思うと…、名前だって呼びたくて仕方がナイ。


もっと、もっと、近づきたくて・・・



優しいキスから激しくなる、ゲームの始まりも。


抱っこされたトキの目線から見える、社長室の風景も。


支えてくれる、貴方の腕の力強さだって。



何もかもが、私の大切な宝物・・・




ピッ――

いつも通り、指紋認証キーを開錠した拓海。



ガチャッ――

重厚な扉が開いた先には、ベッドが待ち構えている。



「っ・・・」


ドキドキと一層高鳴る鼓動を、止められない。


ううん…、今日だけは感情に溺れてみたい。



キングサイズのベッドに、そっと私の身体は下ろされた。