たくさんの思い出を、私にくれたから。
たくさんのキスと、一緒にいる時間をくれたから。
貴方を愛するコトが、出来たから・・・
「っ、ありがと・・・」
私には、この言葉しか見つからない。
そのままで暫く、晴天の空を仰いでいた。
「・・・蘭?」
「・・・え?」
名前を呼ばれて、声のした方を見返すと・・・
「しゃ、社長・・・」
スウェット姿で、耳にはイヤホンを填めている。
どうやら、ジョギング中のようだ。
「こんな時間に何をしている?」
イヤホンを外すと、ジッとこちらを捉えた。
「えっ、あ、あの・・・
さっ…、散歩を・・・」
いきなり核心をつかれて、心がドキリと躍った。
咄嗟に思い浮かんだのは、陳腐な言い訳で。
「その割には、出社準備は万端だな?」
「っ――」
鋭い社長を、騙せるワケもない・・・

