どうにか涙を止めると、再びメイクをし直した。


ナチュラルどころか、濃くなってしまったけれど。


それでも泣いたと、バレるよりマシ・・・




「あら、早いわね。

まだ朝ごはん、出来てないわよ?」


リビングへ行くと、母が朝食の支度中だった。




「うん…、まぁね?

今日は朝ごはん、いいわ・・・」


睡眠も取れなかったのに、食欲が出るワケないよ。



「あら、体調でも悪いの!?

貴方の風邪が、拓海君に移ったら・・・」

苦々しい顔つきで、そう呟いている。


東条家に仕える者なら、当然の反応だけれど。



だけれど今、社長の話はツライ――



「違うわよ・・・

昨日の夜に食べ過ぎたから、まだお腹が空かないだけ!」


茶化して言うと、お腹をポンと叩いて見せた。



「あら、そうだったの。

それならお昼は、しっかり食べなさいよ?」


「もぉ、大丈夫よ。

子供じゃないんだから!」


軽く笑うと、訝しげな表情を牽制した。



そうだよ、もうコドモじゃいられナイ・・・