「でも、返事してくれたのはこれで二度目だね。
一回目拓郎君が何て言ったか覚えてる?」
僕はしばらく黙り込む。
早く行かせて欲しい。
「この質問はあからさま過ぎたかな。
言えるわけないよね。
だってさ、」
小川沙紀が僕に顔を近付けてくる。
「あなたは本当の『近藤拓郎』じゃないもの。」
「なっ!」
思わず目を見開いた。
「そのリアクションからすると本当に偽者みたいね。」
「どうして…」
「大丈夫、多分他の人は気付いてないから。
ずっと拓郎君を観察していた私だから分かったのです。」
そう言って、胸を張る。
これは教室と同じような口調だった。
小川沙紀は僕の服を放していた。
もう、逃げる心配はないと判断したらしい。
「周りの人にバレるとまずいんでしょ。
バレていいんだったら成り済ます必要なんてないよね。
ここでこんな話をするのは良くないんじゃない?
部屋に上げてよ。」
僕が渋っていると、
「力になってあげれると思うんだけどなぁ…」
心底残念そうな声で言った。
「あぁ…、分かった。」
もう、自分が近藤拓郎ではないことがバレてしまっているので断る理由もないか。
それに、クラスにも一人くらい協力者がいた方が心強いだろう。
二人で男子寮の中に入って行く。
落ち着いたところで思い出した。
さっき張った小川沙紀の胸、そんなに大きくなかったな。
って、いやいや、それが悪いわけではないのだ。
むしろそれくらいの方が僕は好みだ。
え?どうでもいい?


