チャイムが鳴って講義が一旦終わった。
さっきの講義は結局意味が分からなかった。
そりゃ、そうか。
人をコピーしてしまうような世界での学問だ。難しいに決まっている。予備知識のない、それに周りの人間のように選抜されてここに来たわけではないのだ。
それにしても今さらになって思ったが、本当に人を丸々コピーすることなどできるのだろうか。
細胞一つ一つを細くコピーして行かねばならない。
それともアレか?色々な法則が、僕の記憶の世界とは違っていて、思っている程の労力は掛からないというのか?
記憶の中の世界の法則をあまり知らないので確かめる術はないが。
もっと勉強しておけばよかったな。
いや、そんなことは不可能なのか。
僕はこの状態で近藤拓郎に作り出されただけなのだから。
勉強していないという状態を変えることは出来なかった。
ひょっとしたら、それはこうやって生きている今にも言えることなのかも知れない。
ああ、よく分からなくなって来たので考えるのをやめよう。
話が意味分からなかったというのもあって頭の中がカオスになっていた。
意味分からないと言えば講義の間に読む、近藤拓郎がよく読んでいたという本もだ。
近藤拓郎という天才が好んで読んでいたのだから、きっと周りにいる選抜されたやつらでも、半分くらいはつまらないと感じるに違いない。
そして、何と言ってもこいつ。
こいつも意味が分からない。
講義や本が難しい内容だろうというのは想定内だったが、こいつは筋書きにいなかった。


