コピー

山口先生が質問を変える。

「では、彼はどうやって自分のミスを知ったのでしょう。」

「さあ。
ただ、実物を確認しなくても、『その子』を作ったときの工程を思い返し、ミスに気付いたというのも考えられます。」

有り得るとか、考えられるとか、かも知れないとか、確証がない。

近藤拓郎の失踪は謎だらけだ。

校長が続ける。

「彼の目的が何か、というのが非常に大きな問題になってきます。
わざわざコピーを作ったくらいですから大きなことを起こすつもりなのでしょう。
もしかしたら大災害を引き起こすかも知れません。
だが我々の知っている近藤拓郎はそんなことをする人間ではない。
彼の思い通りのことになってしまいますが、実際彼をこの学校から追放してしまうのはかなり惜しいです。
ですから、彼の捜査は隠密に行い、彼が見つかってもこの件は表沙汰にはしないことにしませんか?
まあ、悪意のある行為を働いたら別ですが。
彼を信じて見ましょうよ。」

校長が僕の方を向き、再び口を開く。

「その為には君の協力が不可欠です。
成功するかどうかは君の行動にかかっている。」

そういうことか。

校長はあのときから考えをまとめていたらしい。

違和感は消えた。

校長の指示に従わなければなるまい。

目的も分からないのに他人の思い通りになって動くのはかなり不安だが、生き残るためにはそれしかないのだ。

いや、待て。全てが上手く行ったとしても、僕は助かるのだろうか。

この世界で自然に生まれたわけでなく人口的に作られた僕は、果たしてピースの一部になって、この世界にはめ込まれることが出来るのだろうか。

近藤拓郎が科学に大いに貢献するような、素晴らしい目的を達成して帰ってきたとして、その後僕はどうなる?

不要な『物』になってしまうではないか。

山口先生は最善を尽して僕を救ってくれるそうだ。

どうやってだ?

結論として僕はこう思った。

僕は生き残れないんじゃないだろうか。