ドアの向こう側には部屋があった。
「なんですか、この、光ってる壁は。」
この空間はかなり狭かった。1畳くらい。
「危険物を持っていないか、調べるためのものだ。
この研究室では、結構重要な研究をしているからな。
人を丸々コピーする、という技術も、実は我々、ここの研究者の上層部しか知らない。
まあ今は出る側なので、調べる必要もなく、直ぐに通過できる。」
先生は二つ目のドアを開けた。
室内より明るい光が目に入り、少し眩しい。
一、五メートル程の高さの壁で囲われた、広めの空間。
空が見える。青い。
壁、地面は灰色だ。
壁に駆け寄り、背伸びをして、この空間の外を見てみる。
ここは屋上だった。
下では空中に何本もの道が通っており、地上への視線を塞いでいた。
道はそこら中に立ち並んでいるあらゆる建物の中へと続いている。
道の上では沢山の「何か」が動いていた。
「あれは…」
「どれのことだ?」
「あの、下の方に沢山通っている、あれのことです。」
「ああ。あれは道路だよ。
その上を走っているのは車。
君の話では君の世界でもあったようだったけど?
だから、さっきもこの道路についての説明はしなかったんだ。」
あれが車?
随分小さい。
「いや、僕の知っている道路って言うのは地上にあるものなんですが…」
「そうか。
この世界では道路を地上には作れないんだ。
人口が増え過ぎて道路に使えるようなスペースがなくなったから。」
自分は本当はこの世界にいなかった存在だったという話を信じざるを得ない光景だ。
山口先生がまた口を開く。
「研究室をこんな屋上に作らなくても良かったんだが、ここに作ったのは、研究で疲れた後、気分転換に太陽が仰げるように、という私の意向だ。」


