「・・・・・・・ごめんな」
「ああ・・・いいのいいの、最後にあなたの声を聞きたかっただけだから。ま、ちょっとお酒の力も借りたけどね、全然気にしてないから、ほんと・・・・・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・なんで・・・・なんで、なんで?理由はなんなの・・・・・」
「・・・・・・好きな人が出来た、んだ」
「それは昨日聞いたー・・・もし、別れないでずっと付き合ってても・・・私と別れてた?」
「それは・・・わからないよ」
「わか、らない・・・・・・・」
「でも・・・別れなかったと思う」
「寂しかったの?」
「・・・・そりゃ・・・」
「毎日電話してたのに?」
「・・・・・」
「だったら・・・私がそこに行けば、寂しくなくなるのかなー・・・・別の人と付き合って寂しさを紛らわさなくても良くなるのかなあー・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「うそつき」

 携帯切って首落とす。
 炬燵に額を押し付ける。
 両腕伸ばして炬燵を抱いた。
 瞳を覆う涙膜。
 画面泳いで文字見えず。
 操作は指が覚えてる。
 メール着信全消去。
 メール送信全消去。
 あなたのメモリー削除する。
 あなたのアドレス削除する。

 あなたの声の後ろ側。
 宇多田ヒカルの曲が鳴る。
 携帯着信電子和音。
 あなたの携帯今私。
 彼女の携帯私を脅す
 月並み通話の宣戦布告。
 電波の波動が鼓膜を渡る。
 過牛振動内耳を踏んだ。
 全然一人じゃないようね。
 家の電話で自分にかけた?
 パソコンメールで自分に送った?
 それとも只の本当の偶然?
どれにしてって二人なのよね。

 嘘吐き。
 嘘吐き。
 嘘吐き。
 嘘吐き。

 一人でテレビ見てるって?
 風邪気味?
 看病して貰ってるくせに。
 肩寄り添ってるくせに。
 CMの間キスしてるくせに。
 耳掻きして貰ってるくせに。
 一緒にお風呂入ってるくせに。
 私としたように。
 私の知らない人と。