「あっこ!!
あい子ちゃんの弁当、忘れていったっしょ」




ある、昼休み。

爽があたしのクラスに、飛び込んできた。


右手には、見慣れた赤い、弁当の入った小さいあたしのかばん。

左手には、これまた見慣れた青い、弁当の入った小さな爽のかばん。



やつはヘラヘラ笑っていた。

・・・いや、キラキラ笑っていた。




ちなみにあい子ちゃんってのは、あたしのお母さん。



あたしのお母さんは“おばさん”って呼ばれるのを極端に嫌がる。

だから幼なじみの3人はいつも、お母さんのことを“あい子ちゃん”って呼ぶんだ。