「・・・爽」 あたしは、搾り出すようにして声を出した。 ずっと知ってる背中が、ピクリと動いて。 忘れられないその顔が、こちらを向く。 「亜子」 午前11時。 気温はもくもくと、上がっていた。 坂を上がっていた爽は、足を止めた。 あたしは急いで、その背中に走りよる。 「久々だよね、2人で話すの」