「あっこー!!!」 真夏の太陽の下。 蝉の声に負けないくらいの声で、爽(そう)が亜子の名前を呼んだ。 亜子は、後ろを振り返る。 延々と上ってきた、住宅街のなかにある緩やかな坂の下に、爽の姿が見えた。 「降りてきてー!!」 「はぁっ?! この坂やっともうすぐ上りきるんだぞ?! 話があるならてめぇがあがって来い!!」 亜子の声に、爽が頬を膨らませた。 「はいはい。 上りますよー??」