Last Love

「どうか、した?」

「私が酔っ払ってたとき、って…。」

「うん。なんか居酒屋で

 酔っ払ってて、

 僕が背負って連れて

 帰ったんだよ、確か。」

あぁ、やっと謎が解けた。

あのとき香ったのは、

櫻井さんの匂いだった…。

「覚えてなかった?

 そりゃそうか。

 歩けなかったくらいだし。」

「ほんと、ごめんなさい。

 私最悪ですよねっ…。」

「あ~、敬語。

 やめるんでしょ?

 それに、呼び方も。

 悠でいいって。」

「悠、くん…?」

「うん。」

そういって微笑む櫻井を、

愛しいと思った自分がいることに、

愛は戸惑いを感じた。

だけど、彼といると、

善彦のことを

一時的にだけど、

忘れられる自分がいることにも

愛は気付いていた。