愛が眠ろうと

ベッドに入ったとき、

ケイタイのメロディが

着信を告げた。

「もしもし…。」

『あぁ、愛さんですか?

 今日は雷が激しいので

 少し心配になって。』

善彦の声だった。

会っていない間も

私のことを

心配してくれてたんだ、

そう思うと、

悪い気はしなかった。

「大丈夫です。

 ご心配をおかけしました。」

『あ、いえ。

 僕のほうこそ、

 夜分遅くにすみません。』

そういって、

電話を切ろうとした善彦に、

待って、と愛は声をかけた。

「もう少し、話せますか?」

『僕の方は、大丈夫です。

 でも、愛さん明日

 仕事あるんでしょう?』

「平気です。

 ここのところ、

 善彦さんとまともに

 話していなかったし。」

不思議だった。

彼と話していると、

先ほどまでの眠気も、

相変わらずゴロゴロと

鳴っている雷も、

そう気になりはしなかった。