「何ボーッとしてんだよ?おれの手離すなって言っただろ?」
「…ごごめん!」
町中のデート。
人が多いところが嫌いな私は苦手だった。
「ほれ。手つなげっ」
差し出してきた手。
つながないとダメなんだろうな。
1人で歩けるのに。
私おばあさんじゃないのに。
仕方なく手をつないだ。
「手ちっせーな」
横にいる山崎が言う。
「そうかなー?普通だよ」
「ちっせーし可愛い」
可愛い可愛い。
ほんとにいってるのかな?
「ぅぅれしいー」
私は…戸惑いながらも嬉しいなんてほざいた。
またずるいって思いながらも甘えた。
「大好きだよーっ」
私が言う。
思いどうりの答え。
「おれもだし・・・ってか俺のほうが好きだから」
「私のほうが!」
なんてずるいんだろう。
私って最悪。
甘えることを求めていたあのころ。
今思えば馬鹿だ。
もしかしたらあの頃の甘えるだけに山崎と付き合ってたこと
1番分かってたのかも知んない。
そう思うと胸が苦しくなった。
キュッて締め付けられる思い。

