グレイクレイの中心部。
時計台や役場が立ち並ぶ通りに建てられている巨大な古い建物。
グレイクレイの中でも一番古く、一番の広さを誇る図書館。
レナはウルを連れ、その場所を訪れた。
だが、目的は「記憶の泉」に関する資料ではない。
以前、レナが初めて泉の話を聞いた時、すぐここへ資料を探しに来たことがあり、本棚を全て探し尽くしても見つからなかったのだ。
今日、ここを訪れたのは人探しの為。
「えぇー…っと…。今日はここに居るって言ってたんですけど……。
あ、いた……ッ!」
図書館の中をキョロキョロと見渡しながら歩くレナの視線が、ある一点で止まる。
その視線の先には、窓辺の席でこちらに背を向けて座っている一人の女性。
長いサファイアブルーの髪が一際目を惹くその女性の姿は、まるで想像上の水の精を思わせる。
少し足早に女性に近付くと、レナは周りに気を使うように小さく声をかけた。
「キスティン……ちょっといい?」
突然聞こえてきた親友の声にふと顔を上げ、視界に飛び込んできたウルの姿を見ると、女性、キスティンの表情が固まる。
一拍、二拍と続く沈黙を、キスティンの上げた叫び声が引き裂いた。
「うッッそーッ?! マーロウ君ッ?!
本物ぉーッ?!」
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