『そうだな……急いで行けば、三日といった程度か』

 小さく頷くウル。

「医者は、歩きだと早くて一ヶ月かかると言っていた。今まで進んだ分を差し引いてもさして変わらないだろ……。それが三日か、さすがドラゴンだな。
 決まりだな、ヴァル。グレイクレイに向かってくれ」

 その言葉に、傷を押さえていたラウラが少し声を大きくして言った。

「ダメッ! まず傷の手当てが先よ!」

 だが、ウルは傷を押さえるラウラの手を掴んで離すと、ラウラの瞳をじっと見る。

「ラウラ、この程度の傷なら大丈夫だよ」

 なだめるように言うウルの言葉に、それでも頑(かたく)なに首を振るラウラ。

「ダメだったら! まだ血もちゃんと止まってないじゃないッ!」

「その内止まるさ。今は先に進もう」

「進むのは止血してからで良いでしょ? せめて、それだけッ!
 完治するまで待てって言ってるワケじゃないんだから!」

「………」

「………」

『……で、どうするんだ? 俺としては、ラウラの方が正しいと思うが…?』

 ヴァルザックの言葉に、ウルが小さくため息を付いた。

「…分かった。じゃ、止血用の布と包帯だけ買う。それで良いか?」

 ウルの提案に渋い顔をしながらも、ラウラは頷いた。
 布さえあれば、ヴァルザックに乗ったままでも止血治療は出来る。

「良いわ。……と言う事よ、ヴァル。
 オズモールに向かって」

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