─ヴァルザックなら、一気にグレイクレイまで飛べるのだろうか……。
無意識の内に緊張でもしていたのだろうか。先ほどまであったはずの食欲が消え、それに引き換え若干鼓動が早く感じる。
─レナ……と、キスティン……。
まだだ…まだ思い出せない…。
名前が分かっても、顔が浮かばない。
やはり、行かなくては。グレイクレイとザイルに…。
手に持った器の中身を口に流し込む。
山菜やキノコらしき物が小さく刻まれ、塩だけで味付けをしてあるらしく、かなりの薄味。
さらに、完全に冷めてしまっている為、自分が何を食べているのか分からない。
それでも、ウルはテーブルに並んだ器を全て空にし、ベッドに潜り込んだ。
─明日、出発する為にもしっかり熱を下げないとな……。
少しきつめに目を閉じて、眠りにつく。
─名前と、知り合いが分かっただけでも大きな進歩だ……。まだ思い出せはしないが…確たる行く場所が出来た。
今のウルには、どんな小さな事でも心の支えになる気がしていた───。
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