「だから、ダメだってば……」
そう言うラウラ自身の目には、もう男を引き止める意志は無かった。
フラフラとよろめきながら立ち上がろうとする男に手を伸ばす。
何故か、放ってはおけなかった。
何故かは、自分でもわからない。
「わかった。そのあんたの知り合い、私も一緒に捜してあげるから。
まずは体調を戻そう?」
言った直後、思わず口元を片手で覆う。
─私、今…何言った?
捜すのを手伝う…って、どこに行ったのかすら分からないのに…。
自分の口を突いて出た言葉を早くも呪うラウラ。
─自分がここまでバカだったとは…。
だが、そんなラウラの考えを読みとったかのように、男は首を横に振る。
「俺、一人で捜す…。あんたは気にしなくていい」
─そもそも、あいつはドラゴンなんだ。
一緒に連れて行ったらバレてしまう。
別にヴァルザックが隠していると言ったわけではないが、あまり人里に降りたと言う話も聞かなかったので、あえて伏せる事にしたのだ。
ラウラはそんな事とは知らず、ただ男に気を使わせたと思い首を振った。
「いいの。私、旅慣れしてるし。
私、ラウラ。あんたは?」
これも、男が同行を断った理由の一つ。
自分の名前を思い出せない男は、極力自己紹介を避けたかったのだ。
「俺、名前思い出せねぇんだ。悪いな…」
.

