「ウルね、いなくなったの。コパン、いっぱい探したけど、いなくなったの」

 悲しげに目を伏せる。

 そんなピクシー、コパンの頭を、エルフが優しく撫でた。

「……って事よ。ウルの居場所は私たちだって知りたいわ」

 人間が、そんなエルフとコパンを沈痛な表情で見つめた後、視線をヴァルザックに向ける。

「なぁ……、あんたは何でそいつを探してるんだ?」

 問われ、ヴァルザックは持っていた小袋を人間に見せた。

「こいつを忘れていったんだ。届けるために探している」

 小袋を見たコパンが大きく目を開く。

「ウルのだッ! ウル持ってたんだよ!」

 その言葉にエルフも驚いた顔をした。

「って事は、ウルは生きてるのね…ッ!」

 人間も、安堵の表情を見せる。

 ─やっぱ、あいつがウルって奴なのか。
 ラーマに悪いことをしたな……。

 白銀のドラゴンの姿が目に浮かぶ。

「あんた、ウル見つけたら早くザイルに帰るように言ってやってくれよ」

 思い出したように言った人間に、ヴァルザックは小さく頷いた。

『伝えておこう。俺はヴァルザック。お前たちの名は?』

「あたしは、セルフィリオーナ」

「俺、レインってんだ。
 じゃぁ……、頼んだぞ」

 人間の言葉に、ヴァルザックは軽くウィンクを残し、勢いよく空へ飛び出した。

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