満天の星空の下を、二匹のドラゴンが飛行する。

 ラーマの背に、ウルとレナ。
 ヴァルザックの背にクレイグとキスティンが乗っている。

 すぐ隣で並んで飛ぶラーマの背中にいるウルに、キスティンが声をかけた。

「でさぁ、結局どうだったの?
 思い出せたの?」

 その質問にウルだけでなくレナまでもが微妙な表情を浮かべ、キスティンの表情がパッと陰る。

「だめ……だったんだ…、そっかぁ……」

 前方へと視線を移すキスティン。

「いやでもさ、他に方法あるんじゃね?」

 彼女の横で、暗くなった空気を持ち上げようとクレイグが明るい口調で言った。

 そのクレイグの言葉に、レナが堅く目を閉じる。

 方法があるとすれば、一つ。

 ウルの記憶に残る唯一の風景を直接彼に見せること。

 それがきっかけで、記憶が戻ることもあるかもしれない。

 恐らく、ウルも同じことを考えているはずだ。

 背中で交わされる会話に、ラーマは静かに耳を傾けていた。

 目を閉じたまま、レナはザイルのことを思い浮かべ、小さく息を吐く。

 ─私がどうしたいかではなくて、ウルさんにとって何が一番良い方法なのか……。
 考えなくてもすぐ分かることなのに、何を意固地になっているの? 私は……。

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