今はもう無い丸太の場所まで戻ってきたウル達は、早くも立ち往生した。
「……そもそもさ、「橋」がねぇのにどうやって渡るんだ…? ここ……」
クレイグの乾いた声が響く。
対岸にはヴァルザックの言葉通り、マーマンの亡骸が大量に折り重なっていた。
─……あれだけの量を倒したのか…?
薄明かりの中、遠目にパッと見ただけでも最初にウル達を襲ってきたマーマン達の数を遙かに凌(しの)いでいる。
キスティンは、実は結構強かったりするのだろうか。
そんなことを考えていると、同じように対岸に視線を向けていたレナが呪文の詠唱を始めた。
─汝の息吹に応えし
汝と共にあるものへ……
どこからともなく風が生まれ、ウル達の間を吹き抜けて流れていく。
─我が声を導き、届けよ…─
全員が、風の吹き抜けて行く先、対岸の通路へと無意識に視線を送った。
不意に、通路の闇が揺れる。
まるで、闇そのものが溢れるように。
動くそれを無言のまま見つめていると、僅かな光に当てられながら姿を現したのは豹に似た獣。
『我を呼ぶ声はお主のものか』
「クーパ……ッ!」
レナの声に反応するように、ゆったりとした動作で顔を上げた獣、クーパは、次いでゆっくりと後ろを振り返った。
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