─……泣いては、ダメッ!
ウルの姿を見ていたら涙が溢れてくる。思わず、レナはウルから視線を逸らした。
女性に、心当たりはある。
ウルが旅に出た理由も、本当はラーマから聞いて知っている。
だが、ウルと再会した時レナはそのことを言えなかった。
思い出してほしいと思う反面、どうか、思い出さないでと願う自分がいた。
─……何て……、
何て、非道い人間だろう、私は……。
そう思うと、どうしようもなく涙が溜まり始める。
だが……、今のウルの言葉ではっきりと分かった。
ウルは、女性のことだけは完全に忘れてはいない。
レナ達のことは、姿をみてから「どことなく知っている気がする」と思う程度。
だが、その人のことと町の風景だけは、夢に見ている。それだけウルの心に強く、色濃く残っているのだろう。
─……かなわないね…。
心の中で小さく呟くと同時に、不思議と落ち着きを取り戻した。
覚悟、してたのかも……。
ウルが全てを思い出し、再び自分の前から去って行くことを……。
レナは、ゆっくりと瞳を閉じた。
私は、心のどこかでこうなることを知っていた……──。
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