「……この水を、どうすれば良いんだ?」
困った表情でレナを振り返るウルに、同じく困惑した表情を返すレナ。
「飲んでみる……とか…。でも、ちょっと怖いですよね……。毒とかあるかもしれませんし…」
呟くレナの横で、ラーマが口を開く。
「光苔は清流のほとりにしか生えない。
おそらく、飲んでも害は無い」
ラーマの言葉を聞いて、手中の水に視線を落としたウルは、僅かに躊躇(ためら)いを見せたものの、それを口元へ運び飲み下した。
静かな、静かな沈黙が落ちる。
眉間に皺を寄せた表情で堅く目を閉じるウルを、ただ黙って見守るレナとラーマ。
長く続く沈黙に痺れを切らして、口を開いたのはレナだった。
「…ウルさん…、どうですか…?」
恐る恐る問いかけるレナの声に、ウルがゆっくりと目を開く。
鳶色の瞳に、レナの姿が映った。
その隣に立つラーマも、どこか心配そうな顔でウルを見つめている。
二人を見てウルは僅かに俯き、小さく首を振った。
「だめだ……。確かに色々なことが脳裏に浮かんだが……。人間とドラゴンが戦っている所や、祭りのような風景……。俺個人の記憶はどこにも……。
…だが……」
映像を思い出そうと再び瞑目するウル。
.

