立ち上がったキスティンは、丸太を渡ろうとはせず、再び後ろに視線を向ける。
微かに聞こえてきたのは、詠唱。
「…来て……、クーパ……」
僅かに照らし出されたキスティンの横に現れた、キスティンよりも一回り大きく見える影。
それは、まるでキスティンに寄り添うように身をくねらせ、光の中に姿を映す。
大きな、四足の豹に似た姿。
それを見たレナが、キスティンの考えを察し、悲鳴に近い声を上げる。
「キスティン…ッ! 何のつもりなの?!
早く、こっちに来て…ッ!」
だが、キスティンは動かない。
嫌な予感が、ますますレナの中で膨れ上がった。
丸太を渡り戻ろうとするレナを、ウルが止める。
ウルの手を離そうとレナは必死にもがくが、当然ウルは離さない。
「放して下さいッ! キスティンッ!
お願いだから、早く! 早く来てッ!」
取り乱したように叫ぶレナ。
そのレナに、対岸からキスティンが小さく微笑み、だが次の瞬間には緊迫した表情を作った。
「行ってッ!」
キスティンの声が空洞内に響き渡る。
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