「多分、目的の泉だと思われる場所を見つけたんだが……」

 戻って来るなり、ラーマはそう言うと、言葉を途切ってヴァルザックと視線を交わす。ヴァルザックも、微妙な表情を浮かべている。

「…な、何なの? 泉があったなら、早速行きましょうよ」

 二人のドラゴンの放つ辺な雰囲気に嫌な予感を覚えつつも、キスティンが言う。

「…お前達、自分の平衡感覚に自信はあるか?」

 全く予想外のラーマの言葉に、ウル達は目を丸くした。

「見せれば分かるさ。とりあえず、そこに行こうぜ」

 何故、平衡感覚? と言いたげな表情をするウル達を見て、ヴァルザックがそう言うと歩き出す。

「それもそうだな……。こっちだ」

 妙に歯切れの悪い二人の態度に、ウル達は視線を交わすと、二人を追って歩き出した。

 空洞から延びる一本の通路。

 今までの道と動揺に狭く暗いものだったが、距離としては短かった。

 そこに広がる景色に、全員が息を飲む。

 断崖絶壁。眼下には、暗くて全く底が見えない闇。対岸へと続くのは、手すりも何もない一本の古びた丸太だけで、その先には今し方ウル達が通ってきたような暗く狭い通路が口を開けていた。

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