「だからぁッ!
ダメって言ってるじゃないッ!」
記憶の泉の場所を聞きだそうとするレナと、それを頑(かたく)なに拒否し続けるキスティン。
「お願いよ、キスティン。
知ってるんでしょ? 泉の場所。もう、それしか手が無いの」
「ダメッ! 言ったでしょ? 誰も戻ってこないのよ? 行った人達の中には、強そうな剣士やハンターだっていたのに、その人達も戻らなかったのよ?
絶対ダメ、行かせられないわッ!」
「そこを何とか……ッ! 複数人で行くとか……何らかの対処はするから! 自然と記憶が戻るのを待っていたら、いつになるかわからないし……、それじゃウルさんが可哀想だものッ!」
「レナ、気持ちは分かるけど、だからって危険だと分かり切ってる所に行かせるわけにはいかないわ。私は、あなたの友達であると同時に、この街の領主の娘なのよ?
街の住人であるレナを、危険にはさらせない」
「でも、他に方法があるッ?!
医療棟にも、それ専門の先生がいないことはキスティンだって知ってるでしょう? 他の街でアテ無く医師を捜し歩くより、記憶の泉に行く方がずっと効率が良いに決まってるもの…。
お願いよ、キスティン!」
「……レナ……」
レナがここまで食い下がるのは初めてのことで、キスティンに迷いの色が浮かぶ。
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