辺りの視線に耐えかねたレナは、ウルとキスティンを連れて逃げるようにその場を立ち去ると、近くの喫茶店のテラスに座り込み、はぁッと短く息をつく。
その際にも、キスティンは絶えずウルを振り返っては話しかけ続けていた。
「今までどこにいたの?」
「クレイグもラーマも…みんな探してたんだよ?」
「やだッ! めちゃくちゃ汚れてるじゃないの!」
「ザイルには帰った?」
まさにダイナマイトトークなそれを止めたのは、レナ。
「キスティン、ちょっと聞いて?」
そう言ったレナの言葉に、「何を?」と問いかけるような表情を向ける。
「ウルさん、覚えていないのよ。記憶をなくしているの。それで、キスティンに聞きたいことがあるんだけど……」
ウルの現状を早口で手短に説明したレナは、早々と本題に入った。
余りの驚きに声が出ないキスティンに、静かに問いかける。
「キスティン、小さい頃私に「記憶の泉」の話をしたの、覚えてる?」
レナの言おうとしていることを瞬時に察したキスティンは、更に驚いたように口をパクパクと動かした。
「だめッ! あの時は知らなかったけど、「記憶の泉」に行く途中には、水中の悪魔が出るらしいのよ」
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