「うわっ!若菜!?」

静かに席に着いた私に、驚いた様子の浩実。

「ねぇ、顔、真っ赤だよ?どうしたの?」

「私……変かも。」

「うん、変だよ。」

「ヤバい、どうしよう……。」

「何が?」

「好き?……かも。」

「はぁ!?」

浩実が大声を出して、立ち上がる。今の私に、それを制する気力はなかった。
周囲の視線に気づき、浩実は自ら小声になる。

「誰が?」

「……カワサキ。」

「……誰、だっけ?」

「院生。実験に来てた、金髪の。」

「あぁ。だから、言ったじゃん。」

「言ってたね。」

「若菜、恋する乙女の顔してるぅ〜!」

からかうように浩実が言う。でも、私はその言葉を否定した。

「恋、してないよ。」

「はっ!?」

「恋に落ちたの!」


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