「じゃあね、お疲れ〜!」

午前中の授業を半分眠りながらもなんとかこなし、教室を飛び出す。

「若菜〜っ!!」

窓から顔を出した浩実が私を呼び止める。

「何?」

「何?じゃないよ。今日は午後から実験でしょ?」

「実験?ウソ……。」

すっかり忘れてた。

「お昼、食べに行くよ。ちょっと待ってて!」

浩実の顔が教室の中に入り、すぐにドアから出てきた。

「さっ、行こー!」

「浩実、テンション高い。」

「上げないとやってらんないから。」

ニコニコ笑いながら、浩実が言う。幸せそうだ、この子は。

「浩実?」

「ん?」

「何かいいことあった?」

スキップしながら私の前を進む浩実は、振り返るとニヤリと笑った。

「ふふん。訊きたい?」

「うーん、いいや。」

「えーっ、何で?」

「うん、めんどい。」

「ヒドーイ、聞いてよっ!」

「はいはい、どうぞ。」


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