「莉緒、着替え持ってきたぞ」

俺が病室の扉を開けると、見たくない顔が視界の飛び込んできた

俺は丸椅子に座っている春を睨んだ

「何の用だよ」

「お見舞い…だけど」

「さっさと帰れよ」

俺は病室のドアを閉めると、部屋の奥に入る
窓際に背をつけると、じっと春と見つめた


見つめたというか
睨んでいた

なんで見舞いに来てるんだよ

莉緒を突き飛ばした張本人がさ

本当に、こいつ
頭がおかしいんじゃねえの?

「離婚しないのね」

「する必要がねえ」

「どうして?」

「警察に突き出されてえのかよ!」

春が俺を睨んできた

「あなたってすぐに警察ね
本を読んだわ
莉緒の元カレも警察行きにしたもんね」

「何が言いたい?」

俺は目を細めた

何しに来た?
何が目的だ?

「莉緒、こんな最低男、やめておきなよ
莉緒が苦しむだけだよ
この男が私に何をしたか、さっき聞いたでしょ?」

何の話をしているんだ?

俺の視線は莉緒へと向いた

莉緒が俺の顔を見ると、寂しそうにほほ笑んだ