「奥さんが事故にあったって聞いたけど、平気なの?」

ラジオの打ち合わせに来た俺にみちるが声をかけてきた

「ああ、回復してるよ
まだしばらくは入院生活が続くだろうけど」

俺は笑顔で答える

あまり長期にわたって仕事を休むわけにはいかないから

莉緒の体に、事故の後遺症は残らないらしい
詳しい検査結果はまだだけど

子は流れたが、また自然の成り行きで妊娠するだろう

流産して、妊娠しにくくなるらしいが
可能性はゼロになったわけじゃない

それに莉緒と一緒にいられるなら、子どもができなくてもいいと思ってる

「体、平気?」

「リハビリの必要はあるみたいだけど、平気だよ」

みちるが俺の隣に座ると、俺の太ももに手を置いた

「違うわよ
桜嗣の下半身よ
平気なの?」

「俺の心配?
平気だよ、妻が退院したらスレばいいんだし
入院中でも…まあ、やろうと思えばできるんじゃねえの?」

もう莉緒以外のヤツとはやらねんだよ

決めてるんだ

莉緒を不安にさるような行為は慎むって決めたんだ
…って春ってヤツとは本当に何もなかったし

莉緒の意識がはっきりしたら、きっちりと話をしないとな!

「みちるなら、今夜、あいてるよ」

胸の谷間が見えるように、座る体勢をかえてきた

俺は視線を全く別の方向に向けると、大きく息を吐いた

「そういうやめろよ
俺は妻以外に興味はねえんだよ」

「なーんだ。つまんない男になっちゃったのね
妻のいる男って情けなーい」

「情けなくねーよ
格好いいんだよ、一人の女を愛してる証拠だろ?」

俺はほほ笑んだ

「みちる、この番組おりるぅ
桜嗣とエッチできると思って引き受けたのに」

みちるは席を立つと、会議室を出て行った
打ち合わせの時間になっても戻ってくることはなく、本当に番組をおりてしまった