「どこに行ったんだよ……」

俺は大きく息を吐きだいた

店を出てから2時間がすぎるが、莉緒を見つけられない
家に帰ったのかと、電話するが誰も出ない

莉緒の携帯にも電話するが、出なかった

俺は携帯を開くと、メールの画面を開いた

『莉緒、きちんと話がしたい
俺とあの女とは何の関係もない
アドレスも知らねえし、莉緒に隠している話もねえよ』

メールを送信した

「あ…いたいた
もう、探したよぉ」

俺は顔をあげると、春が立っていた

「なんだよ!
まだ俺に用があんのかよ」

「そんな怖い声を出さないでよ」

春が俺に近づいてくる

俺は一歩、二歩と後ろに下がった

「私、莉緒が嫌いなのよ
特別に可愛いわけでもないし、ずば抜けて頭がいいわけでもないのに
なぜか男にモテるのよ
高校のとき、隠れファンが多くて、私は何度悔しい思いをしたか
なーんにも知らない顔して、男に媚を売っているなんてむかつく以外にある?」

「だから、何?
莉緒を苦しめて、俺が許すと思うわけ?」

「私のほうがいい女よ」

「いいや、莉緒のほうが良い女だ」

「莉緒のどこがいいわけ?
顔なんて普通以下じゃない
体系だって、胸は小さいし、痩せてるわけじゃないわ」

春が足を止めた

路地の片隅

俺と春の距離は3メートルってところか

「見た目が何だよ
あんたは何もわかってねえんだ
俺は莉緒の見た目だけで、結婚を決めたわけじゃねえ
莉緒のすべてが愛おしいから結婚をした
あんたみたいな見た目だけの女は大嫌いなんだよ
中身のすっからかんな女には興味すらわかないね
話したいとも思わねえんだよ」

俺は春に背を向けて歩きだした

早く莉緒の誤解とときたいのに
あんな女と話してる時間すら勿体ねえよ