彰吾の顔がきく店に予約をしてもらった…はずなんだが

貸し切りになっていた

女5人
男5人

だだっ広い空間にぽつーん、ぽつーんと立っている

広いスポーツバーに男女合わせて10人プラス店員

いいのか?
これで……

「おい……彰吾、これじゃ盛り上がるものも盛り上がらねえぞ」

俺が彰吾の耳に言葉を投げた

「予約はした」

「貸し切りにしろとは言ってない」

「俺も言ってない」

「ああ、そう」

んじゃ、店員の早とちりか…って彰吾の説明はかなり不足するからなあ

ま、いいや

盛り上がって、またやろうってなっても困るしな

俺は莉緒と一緒に飯でも食って、さっさと帰ればいいや

「まずは自己紹介しない?」

春が明るい声で言う

そして男女向い合っての自己紹介をしたあと
乾杯をして…店員が用意した食事を食べ始めた

俺は莉緒と一緒にカウンターに座ると、皿に盛ってきた料理をつまんでいた

「桜嗣、あっちに行かなくていいの?」

「ああ。
彰吾がなんとかするだろ?」

彰吾が女性に囲まれて、質問攻めにあっている

その輪から抜けてきた春が、俺たちに近づいてきた

「桜嗣もこっちに来て、飲もうよ」

春が腕を引っ張った

『おうじ』だと
呼び捨てかよ