そうだ。
私はいつも、自分の現状から目を背けて自分が自分を嫌いになるようなことばかりしてきた。
まるで砂山に砂を塗り固めるように。
そしてトンネルみたいに心に穴が開いて耐えられなくなって、色々なものから逃げてきた。

全部、壊してしまえばいいんだ。
全部壊して、また作ればいいんだ。

取り返しがつかないかもしれないけれど

少女の母親が歩いてくる。
「しーちゃん、お姉ちゃんにお礼言いなさい」

「おーちゃん、あそんでくれてありがとう」

「ううん。お姉ちゃんこそありがとう。しーちゃん」

「本当にありがとうございます。上のお姉ちゃんが去年小学校にあがっちゃって…この子お姉ちゃん子だから」

「いいんです。私も楽しかったから。しーちゃん、また遊ぼうね」

「うんっ!」

少女と別れて街をブラブラする。

まずは洋服買わなきゃ。

ちょうどいい所にデパートがある。

洋服コーナーに向かう途中、家具コーナーが目に入る。

大特価!!
3980円。

綺麗なピンクのテーブルが目に入る。

…可愛い。

そういえば、あの部屋テーブルなかったな。

桜香は無意識のうちに戻るつもりのなかったあの部屋の事を考えていた。