「7時半…………7時半!?…ヤバい!遅刻する!」

そう言って俊はバタバタと部屋を出ていく。

起こしてよかったようだ。
それにしても掴めない人だなー。

でもやっぱりいい人そう。

そういえば私も用意しなくちゃ!

スウェットから制服に着替えて軽く化粧をする。

俊はシャワーを浴びてるようだ。

今からどうしよう…

まずは一緒に駅まで行って…また違う街に行こう…

シャワーを浴び終わった俊はすぐに着替えて足早に玄関へ向かう。

それについていく桜香。

「…これ。合鍵。今日出ていくんならポストに入れといて。一応渡しとく。」

「…でも!」

その言葉を遮るように俊は玄関を出ていった。

取り残された桜香。

…どうしよう

どうすればいいかわかんない。

私が居る事であの人に迷惑がかかったら…

あの男は私を探しだす為なら何でもするだろう…

私はどうすればいいんだろう

時計は8時前



決心する。

やっぱり出ていかなきゃ。

私は大丈夫!

そう思いながら握った拳は昨日より弱い力だった。

この時の桜香は俊との出会いで変わっていっている自分に気付いていなかった。