少女に抱きつくと、少女は優しく頭を撫でてくれる。

「おーちゃんはいい子だね。いい子いい子」

私は少女にそう言われて頭を撫でてもらうのが大好きだった気がする。

「おーちゃん、何かあったらお姉ちゃんにすぐ言うんだよ。お姉ちゃんがどうにかしてあげるからね」

そう言うと、少女はまた私を抱き締めて頭を撫でる。
私は少女に身を委ねる。とても心地いい。

ねぇ、あなたは誰?
あなたは…
心地いいはずなのに酷く切ない。

なんでだろう

わからない。
あなたは誰?
私は―




目が覚めて時計を見る
午前四時。

いつもなら、まだ寝ている時間だ。

隣には昨日の少女が寝ている。

どうしてだろう。
今日会ったばかりの少女にあんなこと言うなんて。
誰かと1日一緒に過ごすだけでも苦痛なのに。
ただ、わかるのは一緒に居たいと自分の中のもう一人の自分が言っているということ。

そう考えているうちに桜香がうなされているのに気付く。

桜香のほうを向いてみる。
桜香は涙を流している。しかし、起きているわけではないようだ。

自然と頭を撫でる。
まさに手が勝手に動いたという感じだ。