「間違い電話をして、こんな説教がましいこと言ってすみません。」


「いいえ。少し心が落ち着きました。」


「それは良かったです。」




「あの、これでさよならですよね。」


私は何を言っているのだろう。


しかし彼は


「また、この電話番号にかけていいですか?」


と言ってくれた。


嬉しかった。




「はい。また何かあったら愚痴聞いてください。」


「いいですよ。」


「名前は・・・?」


「・・・マサルです。」


彼は少し間を置いた後、名前を言った。


本名かは分からない。


でも、私は信じようと思った。


「マサルさん・・・。」


「あなたは?」


「美優です。」


「じゃあ、また時間があったら電話しますね。」


「はい。」


「おやすみなさい。」


「おやすみなさい。」


私の淋しさ、悲しみ、怒りが少し和らいだのだった。